うつ病について
このページでは 「うつ病について」 と題して、うつ病に関する様々な情報を収集しまとめました。
情報源のほとんどが Web や参考書籍です。一部誤解を招く文章があったり、誤りがあるかもしれません。
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このページによって、うつ病に対する認識が深まることを期待しています。
うつ病とはどんな病気?

まずはじめに。うつ病は必ず治る病気です。完全に治るまでに時間はかかることもありますが、早ければ 3 ヶ月、長くても数年で治る方がほとんどであると言われています。何ごとに対しても前向きになることが出来ず、精神的にかなり辛い状況に追い込まれますが、諦めないで前を向いて生きていきましょう。経過は地味かも知れませんが、少しずつ前進してることを実感できる日が必ず来ます。それまでは天がくれたお休み期間だと思ってゆっくり休みましょう。
うつ病はよく 「心の風邪」 と例えられます。体がウィルスなどに感染して風邪をひくように、心もストレスなどの原因で風邪をひいてしまうのです。それ位、うつ病は身近な病気であると言う意味であって、一度かかってしまうと風邪のようにはすぐに治りません。原因は人によって様々ですが、以下のようなものがあげられます。
- 愛する人や親類などとの離別や死別
- 結婚、引越し、転勤、昇進や進級などによる環境の変化
- 日頃の人間関係のトラブル
- 出産直後から数ヵ月間、ブルーな気分が続く (産後うつ病)
- 秋から冬にかけて体調を崩し、春になると治る (冬季うつ病)
- その他、悲しいことや苦しいこと、悩み
これらのことは、人生の中で誰もが一度は経験するものです。つまりうつ病とは 「誰でもかかる」 可能性のあるごくありふれた病気なのです。こういったストレスになる悲しみや苦しみを乗り越えることができれば、ただ落ち込んでいただけで、そのような状態を 「うつ状態」 といいます。しかし人によって感受性が違いますし、場合によっては同時に複数のストレスに襲われることもあります。心が落ち込んだままになってしまい、この状態が長く続いた場合、様々な症状が現れてきます。期間は明確に定義されていませんが、2 週間以上続いた場合、「うつ病」 と診断されることが多いようです。
うつ病は、医学上は 「気分障害」 という病気に分類されています。「なんだ、気分が悪くなるだけか」、と思われてしまうかも知れませんが、れっきとした病気です。人によっては時間の経過とともに自然治癒してしまうこともあります。しかし、うつ病にかかった人の大半は、投薬や療養といった方法によって治療する必要があります。
うつ病の症状のうち身体的な症状のみが現れる場合があります。うつ病であるにも関わらず精神的な症状が出ないため 「仮面うつ病」 と呼びます。一般的にうつ状態では全ての欲求が低下し食欲も減少しますが、仮面うつ病の場合には過食等の特殊な症状が現れる場合があります。
ある国際的な調査では、全人口のうち 3 〜 5 %の人がうつ病にかかっているといわれています。また別の調査では、人生のうちに一度でもうつ病にかかったことのある人は 25% にものぼります。
風邪は早めに風邪薬を飲めば、早く治ります。放っておくと悪くなり、気管支炎や肺炎などの病気になってしまいます。うつ病も同じで、早期に発見し治療を始めれば早く治ります。しかし症状が悪くなると、寛解 (※) するまでに数年かかってしまうことも少なくありません。早期発見と早期治療開始が早期寛解につながります。
※ 寛解 (かんかい) : 心の病気は、骨折などのような怪我と違い、治った後に再発することがしばしばあります。そのため治った状態を 「完治」 と言わず、寛解と言います。
冬季うつ病 (季節性うつ病)とは

1980 年頃から全世界で注目されてきたのがこの冬季うつ病です。最近では身近なテレビ番組でも紹介されるようになってきました。名前の通り、秋から冬にかけて症状が現れ、春になるとコロっと治ってしまうのが特徴です。
症状としては、冬になると全体的な調子が崩れ、集中力の低下、体重の増加、過眠、過食、そして人付き合いが低下します。食事のあと更に、パンやごはん、パスタ、クッキー、チョコレートなどの炭水化物を好んで食べたくなります。
原因は日照時間が影響しているといわれています。人間は光 (主に日光) を浴びることでセロトニンという神経伝達物質の生成を促しますが、夏に比べ冬は日照時間が約 1/3 になり、その分セロトニンの放出が低下します。セロトニンが足りなくなると脳の活動が低下してしまうため、集中力は低下し、だるい、眠いという症状が現れます。また脳の活動に必要な糖分のもととなる炭水化物を多く摂ろうとします。
治療法としては光療法が一般的です。これは 1 日に数分から数十分間、眩しいと感じるくらいの光源を 「見る」 という治療法です。この光源は、医者がレントゲン写真を見る時に使用する蛍光灯が入った箱、あれをイメージすると分かりやすいと思います。これを実行することでセロトニンの放出が促進され、症状が改善されるということです。同時に投薬治療を行う場合もあります。
こういった症状は、冬季うつ病にかかった人だけに現れるものではありません。寒くなると家を出たくなくなったり、食欲が出る人も多いと思います。冬季うつ病の特徴は、全般的にやる気が低下することと、炭水化物を食べたくなる、といった点が大きく異なります。
うつ病の患者数

2002 年 10 月に厚生労働省に問い合わせました。日本の現状としては 1999 年の調査において、ある 1 日に全国で通院されているうつ病患者数は 21,600 人、入院患者数は 11,900 人、合計 33,500 人ということでした。またラジオで聞いた情報によると、推定で 330 〜 600万人もの人がうつ病で苦しんでいます。
厚生労働省から提供されている 「厚生労働統計一覧」 を参照し、うつ病を含む気分障害の治療を受けている患者数をまとめました。これによると 3 年間で実に 1.6 倍に増えていることが分かります。
1999 年 441,000 人
2002 年 711,000 人
ある精神科医の話によると、初診する患者さんの 3 分の 1 はうつ病だということでした。
どのような症状なの?
人によって様々ですが、一般的には以下のような症状があげられます。
- 食欲が出ない、性欲が減退する
- 睡眠障害、眠れない、何度も目が覚める、熟睡できない、朝早く目が覚めてしまう、眠りすぎる、いつも眠たい
- 朝だるく、昼から夕方にかけて少しずつ元気になり、夜にはうつ病と思えないほど元気に活動する場合がある (日内変動)
- 頭が働かない、仕事や勉強に集中できない
- 体がだるい、頭痛、頭重感、微熱が続く、吐き気、肩がこる、動悸、息切れ、生理不順
- なんとなくやる気が出ない、何事にもおっくうになる、興味、感心がなくなる、喜びを感じなくなる
- 判断力や決断力が低下する、もしく判断や決断が出来なくなる
- 物事に対して悲観的になる、マイナス思考になる、考えがまとまらない
- 物事や他人に対して興味がなくなる、好奇心が沸かなくなる
- 笑うことが少なくなる、心が沈み、喜びを感じることが少なくなる
- 自分を責めたり追い込んだりする、自分はだめな人間だと思ってしまう
- 動作が鈍くなる、身の回りのことができない
- 自殺を考えるようになる、自殺してしまう
うつ病にかかった人は、周りから見ると怠けているように見える場合があります。仕事をこなすスピードが遅かったり、勉強が進んでいなかったり、物事の判断を先延ばしにしたり、意見を言わなくなります。しかし本人にとってはそれどころではありません。自分がこの世にいてもいいのか、何も出来ない、生きる価値が無いなどと考えてしまいます。周囲の方は異変に気付いて、配慮してあげてください。一番気をつけなければいけないのは、「自殺」 です。うつ病は、かかっていることを本人が気がついていない場合があります。本人は何事にも億劫になっていますので、周囲の人間が早く気が付き、手遅れになる前に適切な治療を受けさせてあげる必要があります。
うつ病の症状をもっと詳しく
うつ病にかかった有名人は?
文学者のヘミングウェイ、ガリ、カミュ、ウルフ、マヤコフスキー、ドフトエフスキー、エセーニン、太宰治、有島武郎、宮沢賢治、久保栄、岡本かの子、吉行淳之介、山口瞳、開高健、夏目漱石、トルストイ、ゲーテ、作曲家のチャイコフスキー、シベリウス、科学者のダーウィン、フロイド、政治家のリンカーン、チャーチル、そして飛行機を製造したライト兄弟の兄などなど・・・。数え上げるときりがありません。これだけ偉業を成し遂げた人たちも、うつ病にかかっていたのです。逆説的にとらえ、偉業を成し遂げる程の努力をする人はうつ病になりやすいという仮説もあります。
どのような人がなりやすいの?
ひとくくりにして、こういう人がなりやすいとは言い切れませんが、傾向があるようです。
- 責任感、義務感の強い人
- 完璧主義、凝り性な人
- 真面目な人、うそをつくのが苦手な人
- 几帳面な人
- 何事にも熱心な努力家な人
- 人情が厚く、他人に気を配る人
- 相手の気持ちに敏感な人
- その場の雰囲気を大事にしようとし、同調させようとする人
- ○○をしなければならない、○○でなければならないと考える人
こういった性格、性質を持っている人は、職場や学校においてとても頼れる頼もしい存在で、仕事や勉強をよくこなし、上司や同僚、後輩から信頼されることが多いでしょう。それを喜びとし、さらに頑張ります。このような状況の時に、悲しいことやつらいことがあってうつ病になり、上記のような症状が現れ、「どうして自分はこんなに出来ない人間なんだろう」 と自分を追い込んでいってしまいます。
うつ病の発病の科学的なメカニズムは?

人間の脳は 「呼吸をする」「食べる」「歩く」 といった、生きていく上でなくてはならない動作を体に命令する働きを持っています。脳は、体だけではなく心に対しても命令を出しています。「意欲」「食欲」 などのような感情や欲求も脳が命令を出しているのです。
脳から体や心に対して発する命令は、神経伝達物質やホルモンなどを仲介しておこなわれます。この神経伝達物質の中でも、特にうつ病に関連があるのは 「セロトニン」 と 「ノルアドレナリン」 です。脳内の神経細胞からセロトニンやノルアドレナリンが放出されると、それを 「受容体」 が受け取り、やる気や欲求などが沸いてきます。
しかし何らかの原因で神経細胞からの放出量が低下すると、脳内のセロトニンやノルアドレナリンの量が低下し、受容体が受取ることができなくなります。これによってやる気や欲求が低下し身体的な症状も現れてきます。いわば 「脳内神経伝達物質のバランスの乱れ」 これがうつ病のメカニズムです。
こうして見ると、心の病気というよりは 「ストレスによる一時的な脳の機能障害」 という方がしっくりするかもしれません。ただ 「障害」 という言葉は世間一般ではあまり好まれない傾向があり、うつ病についてまとめられている本やウェブサイト等の著作物の多くでは 「心の風邪」 とやわらかく表現している場合が多いようです。
- セロトニン
気分を興奮させる方向に働きます。体温調節、血管や筋肉の調節、運動、食欲、睡眠、安心感などに関わっています。
不足すると、体温調節が出来ない、筋肉のこわばり、運動能力の低下、食欲不振、不眠、不安などの症状が出てきます。
- ノルアドレナリン
神経を興奮させる神経伝達物質です。不安や恐怖、覚醒、集中力、記憶、積極性などの働きがあります。
不足すると、不安、恐怖、陶酔、集中力の低下、記憶障害、おっくうになるといった症状が出てきます。
なぜセロトニンやノルアドレナリンの放出量が減少してしまうのか、医学的な原因は実は分かっていません。臨床試験などによってセロトニンを増やすお薬で症状が改善されることが分かり、脳内のセロトニン量がうつ病と密接に関連していることが分かってきた、ということは事実です。まずは投薬によって症状を抑え、心身ともにゆっくり休養を取ることが治療の第一歩になります。
うつ病の治療薬について
うつ病の治療方法は?
うつ病治療の基本は 「投薬」 と 「療養」 です。
風邪と同じで、うつ病はお薬を飲み続けることで必ず治る病気です。適切な治療をすれば、早ければ数ヶ月、長くても数年で寛解します。お薬をきちんと飲み続け、出来るだけ休養をとるようにして下さい。
うつ病の治療方法の 8 割は薬物療法です。ここ数十年の間に、うつ病の治療に用いられる薬がたくさん開発されてきました。近年ではセロトニンやノルアドレナリンに対してだけ作用する、まさに抗うつ剤といったものも新薬としてたくさん出ています。
他にも認知療法やカウンセリングといった方法もあります。
認知療法は 「客観的」「現実的」「合理的」 に考えるように指導する療法です。うつ病にかかっている人は物事を客観的に判断することが難しくなっています。自分自身を責めつづけたり、100 %の仕事をしなければならないと思い込んでいたり、そういった思考パターンにしばられています。自分を責める必要はない = 自分だけが悪いわけではない、仕事は 100 % でなくても良い = 仕事は集団で行なうものだから他の人がカバーしてくれる、というような考え方です。考え方を無理やり矯正するのではなく、ごく自然にこういった考え方をできるように持っていきます。
カウンセリングは、うつ病にかかった人から悩みなどを一方的に吐き出させ、それに対してアドバイスをすることで悩みの軽減を図ったり、うつ病の原因が特定されていない人の場合には、その原因の追求を行なっていきます。原因を解決することでうつ病が改善されることも多く、自分で原因を認識していない人には効果的です。
うつ病の治療法について
周囲の人はどのように接すればいいの?
- うつ病を理解する。
うつ病とはどんな病気か、理解してください。
最近はうつ病に関する書籍がたくさん出版されています。もしくは Web で 「うつ病」 を検索すれば、たくさんの情報を得られるでしょう。
- 励まさない
うつ病にかかった人の多くは、もともと頑張り屋さんです。いつも頑張っていたのに苦しんでいるのです。
「あれだけ頑張ったのに」 と思っています。本当は頑張りたいのに、心も体も言うことがきかなくて頑張れない。
そういった悩みをもっている人に対して、「頑張って」 などという励ましの言葉は余計に相手を追い詰めてしまいます。
何もせず、温かく見守ってあげることが何よりも支えになります。
- 共感の気持ちを示す
話を聞く場合には、「こうすれば良い」 などというアドバイスよりも、「それは辛いね」 など、共感の気持ちを心から示してあげましょう。
- 外出や運動を無理に勧めない
うつ病治療の基本はお薬と療養です。ゆっくり休ませてあげてください。心と体にたまった疲れを取ってあげることが大事です。
特に、気分転換になるからなどといって、無理にコンサートやスポーツ観戦などに連れて行くと、かえって逆効果になります。
- 考えや決定を求めない
うつ病の人に決断を迫ると、真剣に悩んでしまいます。考えを求めると、つい 100 % の答えを探そうとしてしまいます。
出来るだけ追い込まないように気をつけてあげてください。
- 日常生活上の負担を減らす
責任感が強い人が多いですから、具合が悪い時でも無理して家事をしようとしてしまいがちです。
できるだけご家族の方が家事などを負担することで、ゆっくりと休むことが出来ます。
- 通院に付き添い、受診に同席する
あなたがご家族なら、医師からの正しい情報をたくさん得るために、出来るだけ受診に同席しましょう。
うつ病の人が受取る情報量と、健康な人が得る情報量も違うと思います。
それに、うつ病に対する正しい理解が深まります。
- お薬をきちんと飲んでいるか観察する
何事にもおっくうになって、お薬を飲まななってしまう人がいます。
またうつ病は症状が良くなったり悪くなったりを繰り返しながら治っていく病気です。
うつ病の人が、症状が軽くなると自分の判断でお薬を飲むことをやめてしまう人もいます。
お薬を飲まないと、寛解するのを遅らせる原因となります。
きちんと寛解するまで飲みつづけるようにサポートしてあげてください。
- 出来ることと出来ないことを見分ける
経験から申しますと、適切な種類のお薬を適量服用し続け、充分な休息をとることが出来れば、自分のやりたいことを行うことが出来るようになります。
しかし家事や仕事など、ストレスのかかる作業を集中して行うことはとても困難です。
周囲の方は、本人が出来ることと出来ないことを見分け、充分な配慮をしてあげて下さい。
- インターネットの利用
うつ病の人にとって、インターネットは非常に有用です。欲しい情報は本屋に行かずとも検索できますし、欲しい物品はインターネット ショッピングで入手できます。
友人と会うのも億劫な状態の場合には、メールやメッセンジャーといった手段で手軽にコミュニケートすることが可能です。
自分の体調に合わせ、人間関係の深さをコントロール出来るのも、本人にとって負担にならず良いといえます。
インターネットをやる元気があるのに他のことは出来ないのかなどと思わずに、インターネットだからこそ出来ることもあると認識し、理解を示しましょう。
うつ病の人との接し方